日本ではマイナーなアイリッシュウイスキー。
しかしながら、アイルランドはウイスキー発祥の地ともいわれ、長い歴史があるのです。
そして、2007年時点では4ヶ所しか稼働していなかった蒸留所も近年準備中の物も含めると51ヶ所に。
また、1990年代後半までアイリッシュウイスキーの販売量は約200万ケース。
それがこの20年で大きく伸び、今や1200万ケース突破する勢いです。
今、最も注目すべきウイスキー産地と言えるでしょう。
そこで本稿は、当店 “PianoとWhiskyの店MaiMai” のおすすめする銘柄をご紹介します。
口当たり良い物から、個性的な物まで挙げていきますので、これぞという一本を見つけてみて下さい!
※店舗には置いていない銘柄もご紹介しております。ご了承下さい。
アイリッシュウイスキーの特徴
アイリッシュウイスキーの定義
アイリッシュウイスキーは、[Irish Whisky Act,1980]およびECの規定[EC No110/2008]またその改訂により定義されています。
この法律は1950年のアイリッシュウイスキー法及び、英連邦の統治下であった1880年のスピリッツ法を改めたもの。
そして、現在の規定は2014年にIWAが「アイリッシュウイスキーテクニカルファイル」をまとめて欧州委員会に提出した物です。
これにより一層、明確に規定されました。
IWAとは”アイリッシュ・ウイスキー・アソシエイション”(アイリッシュウイスキー協会)の事。
蒸留所や酒類メーカーなどが加盟しています。
アイリッシュウイスキーとスコッチとの違い
まず、大きな違いはアイリッシュウイスキーには「シングルポットスチルウイスキー」がある事。
シングルポットスチルウイスキーは、アイルランドの伝統的なウイスキー。
ポットスチルで3回蒸溜して製造します。
また、モルトウイスキーを製造する際、スコッチウイスキーでは通常2回のところ、アイリッシュウイスキーでは3回行う場合が多いのも特徴。
それから、ウイスキーの表記にも違いがあります。
アイルランドでは「Whiskey」と書く事が多いのですが、スコッチでは「Whisky」と綴ります。
アイリッシュウイスキーは、基本的に麦芽を乾かす際、ピートを炊きません。
そのため、クリアでクセがなく穀物由来の香りを楽しみやすいウイスキーになります。
一方、スコッチウイスキーは、ピートを炊いた物が多いのが特徴。
中にはアイラモルトのように、まるで正露丸を連想させるウイスキーも存在します。
それぞれの蒸留所の個性を、全面に打ち出したウイスキーが多いのが魅力です。
アイリッシュウイスキーの歴史
起源は不明
アイリッシュウイスキーの起源はよくわかっていません。
アイリッシュウイスキーの元となった蒸留酒は、スコッチと同時期かそれより前と言われています。
アイルランドにキリスト教を伝えた聖パトリック(AD387〜461)によって蒸留技術がもたらされたという説もあります。
しかし、これは伝説の域を出ません。
蒸留の技術はアラブからスペインへ、そしてイタリア方面からヨーロッパを北上し、最後に海を渡って伝わったというのが通説です。
蒸留酒に関する伝聞では、イングランド王ヘンリー2世のアイルランド侵攻時の記録(1172年頃)が最古。
この時代すでにアイルランドでは「※ウシュクベーハ」が飲まれていたそうです。
ヨーロッパ各地では12〜13世紀頃に蒸留した酒類の飲用が一般化。
きっとアイルランドでも何ならかの形で蒸留酒が造られていたでしょう。
※「ウシュクベーハ」とはウイスキーの語源となった蒸留酒。
ゲール語で「命の水」の意味です。
元々は薬としても使用されていたみたいですね。
当初蒸留酒造りは教会を中心として行われていました。
それが民間に移行したのは、16世紀 ヘンリー8世の英国国教会(プロテスタント)の設立から。
この時期、アイルランドはイングランドに併合。
そして、ローマ・カトリック教会との断絶という事態の中で教会所有の土地・財産没収。
修道院は解散されました。
それにより、蒸留酒造りも民間に委託されていきました。
したがって、イングランド支配が確立された15〜16世紀以降「ウシュクベーハ」はアイルランドで広く飲まれるようになったと考えられます。
当時は蒸留したてをそのまま飲むか、果実などの風味を加えて楽しんだそうです。
アイリッシュウイスキー全盛時代
1900年ごろアイリッシュウイスキーは黄金期を迎えます。
当時の年間生産量はスコッチが4500万に対して、アイルランドは2800万リットル。
しかしながら、蒸留所の数はスコッチ129でアイルランドは28。
なんとアイリッシュでは、1蒸留所平均100万リットル程製造していたのです。
このようにアイルランドの蒸留所は一箇所の生産規模が大きく、一時期は「世界のウイスキー工場の中心はアイルランド」と言われていた程。
しかし、1920年代以降急激に衰退し、世界のウイスキー市場から消えてしまいました。
アイリッシュウイスキーの衰退の原因
アイリッシュウイスキーの衰退の原因は大きくは3つです。
連続式蒸留機の発明とスコッチ・ブレンデッドの誕生
1826年 ロバートスタインにより連続式蒸留機が発明。
そしてさらに、1831年 イーニアス・コフィ-によりさらに改良された連続式蒸留機が発明され、実用化されました。
コフィーの連続式蒸留機はアイルランド内で14年間の特許を認められ、コフィー式はパテントスチルとも呼ばれるように。
コフィーはフランス生まれのアイルランド人。
収税官として勤務していました。
そのため、ダブリンの蒸留所との関係も深かったのです。
しかしながら、ポットスチルで蒸留する事にこだわりを持っていたアイルランド業者には、コフィーの連続式は人気がありませんでした。
一方、コフィー式を取り入れたスコットランドでは安価で大量に生産できるグレーンウイスキーの製造に成功。
グレーンウイスキーとモルトウイスキーを混合させた、ブレンデッドウイスキーが誕生します。
このスコッチブレンデッドウイスキーは安価で口当たりが良いので、すぐに人気となりました。
結果、アイリッシュウイスキーは市場競争に負けていきます。
確かに、アイリッシュウイスキーはスコッチのモルトに比べると、クリアで飲み易いと思います。
けれどもスコッチのブレンデッドよりは重く、製造コストも高くつくので競争に勝てなかったのです。
アイルランド独立戦争
1916年の「イースター蜂起」を機に、各地で独立運動が盛んになります。
そしてついに、1919年 イギリスとの間で独立戦争が勃発。
結果、1922年に現在アイルランド共和国となっている地域がアイルランド自由国として独立。
北部のみイギリスに残留する事になりました。
これが現在の北アイルランドです。
しかし、この独立がアイリッシュウイスキー衰退の一因に。
独立により大英帝国の商圏から締め出されてしまったのです。
これによりアイリッシュウイスキーは大幅に市場を失いました。
アメリカ市場でのシェア激減
アメリカ禁酒法時代(1920〜33年)に「アイリッシュ」のラベルを貼ったまがい物が流通。
それ故、アイリッシュのイメージは大幅ダウンします。
さらに、生産規模を縮小していたため、解禁後の需要拡大に対応出来ませんでした。
第二次世界大戦中もアイルランド自由国政府は、国内消費確保のため輸出を禁止。
反対にスコッチは外貨獲得と国内産業保護のため、輸出を拡大。
そのため、ヨーロッパ戦線で戦っていたアメリカ兵1000万人は帰還後スコッチを愛飲。
そこからアメリカではスコッチが急速に広まり、アイリッシュは市場シェアを奪われました。
アイリッシュウイスキーの種類
原料 | 蒸留器 | |
---|---|---|
モルトウイスキー | 大麦麦芽、水、酵母 | ポットスチル |
グレーンウイスキー | 穀物、大麦麦芽(全体の30%未満) 水、酵母 | 連続式蒸留機 ポットスチル |
ポットスチルウイスキー | ノンピート麦芽と未発芽大麦が主原料 (他オート麦、ライ麦、小麦など) 水、酵母 | ポットスチル |
1.モルトウイスキー
大麦麦芽のみを使用して蒸留したウイスキー。
ポットスチルウイスキーとは異なりピート麦芽を用いる事も出来ます。
他、水と酵母を使用します。
製法はスコッチウイスキーとほぼ同じ。
しかしながら、アイリッシュの蒸留所のほとんどは3回蒸留します。
(※一部2回蒸留する所もあり)
それにより、スコッチよりクリアな酒質になります。
※SAKECOMIにてライティングさせて頂いた記事です。
シングルモルトウイスキーについては併せてこちらもどうぞ。
2.グレーンウイスキー
穀物を原料にして蒸留するウイスキー。
穀物なら何を使用してもOKです。
そして、大麦麦芽の酵素で糖化を行います。
その場合、ポットスチルウイスキーと区別するために、麦芽の比率は全体の30%未満と定められています。
他、水と酵母を使用。
蒸留はコラムを有する連続式蒸留機の他、ポットスチルも使用可能です。
その際は2回以上、もしくわ3回以上蒸留しなければなりません。
クーリー、新ミドルトン、グレートノーザン、タラモア蒸留所などで製造されています。
グレーンウイスキーは、ブレンデッド用に使用されることがほとんど。
そのため、グレーンウイスキー単体ではあまり販売されていません。
見つけたら是非お試し下さい!
3.ポットスチルウイスキー
ノンピートの大麦麦芽と未発芽大麦を主原料としたウイスキー。
他にオート麦、ライ麦、小麦などの穀物を使用します。
そして、他のウイスキーと同様に水と酵母を用います。
他のウイスキーと異なるのが、ピート麦芽の使用が認められていない事です。
さらに、大麦麦芽・未発芽大麦の原料比率はそれぞれ全体の30%以上でなければなりません。
また、その他の穀物の原料比率は5%未満までしか認められていません。
特筆すべきは、大麦麦芽以外の穀物は殻が硬くローラーミルでは容易に粉砕出来ないため、従来は石臼を用いていた点。
加えて、大麦麦芽100%ではないため、糖化には比較的長い時間かかります。
ポットスチルウイスキーの製法はアイリッシュだけ。
アイリッシュの伝統的な造り方です
アイリッシュらしいとされる独特のオイリーさと、穀物のフレーバーをダイレクトに楽しむ事が出来るウイスキーです。
4.ブレンデッドウイスキー
前述の1〜3のうち2つまたは3つを混合したものがブレンデッドウイスキーと呼ばれます。
したがって、そのパターンは4種類以上。
スコッチの1パターンに比べて多様性があります。
以前はブッシュミルズのように1つのモルトウイスキーと1つのグレーンウイスキーをブレンドした物でした。
それが1970年代以降、スコッチに対抗するため複数のモルト原酒とグレーン原酒をブレンドするアイリッシュブレンデッドウイスキーが誕生。
ジェムソン、パワーズ、パディーなど現在新ミドルトン蒸留所で製造されているウイスキーの大半がこのブレンデッドウイスキー。
味わいは、非常に口当たりが滑らかで、飲み飽きないのが特徴です。
アイリッシュウイスキーの注目すべき蒸留所
続々とクラフト蒸留所がオープンするアイルランド。
ウイスキー愛好家にとって、今一番注目すべき場所と言っても過言はありません。
そんなアイルランドの蒸留所の中からピックアップしてご紹介します。
ウイスキーを選ぶ際の参考にして下さい。
ティーリング
アイリッシュウイスキー復興の立役者ジョン・ティーリング氏の息子が設立した蒸留所。
それまで、ティーリングディスティラリー株式会社はボトラーズ(独立瓶詰業社)でした。
2012年ジムビーム社がクーリー蒸留所を買収。
その際、クーリー社社長であったジャック・ティーリング氏が、伝統的なアイリッシュウイスキーを作ろうと、クーリーを離れて新たに設立しました。
しかしその後の展開を考え、氏の息子が2015年にティーリング蒸留所をオープンさせました。
ダブリンに新しい蒸留所が誕生したのは125年ぶりの事です。
ティーリング蒸留所はオープン当初から観光客誘致に積極的でした。
カフェや売店も充実し、さらに大きなバーも併設。
オープン1年目で訪れた観光客は6万人に登り、さらに増え続けています。
ティーリングが製造しているのはポットスチルウイスキーとモルトウイスキー。
特筆すべきは、ワイン酵母などにも挑戦していること。
これにより、華やかなウイスキーが出来上がります。
ティーリングの成功は多くのクラフト蒸留所に勇気を与えました。
それだけでなく、大企業の関心も引き、2017年にはラムで有名なバカルディ社がティーリングの株式の一部を買収。
バカルディが資本参加した事で、ラム樽で熟成させたウイスキーも今後増えてくるでしょう。
グレンダロウ蒸溜所は、古き良き時代の再来を目指し、熱い情熱を持った5名のスタッフで立ち上げたクラフトディスティラリー。
ジョン・ティーリング氏はダブリン生まれ。
アメリカのハーバード・ビジネススクールで学んだ経営のスペシャリストです。
氏のハーバードでの研究テーマは「なぜアイリッシュはスコッチに敗れたのか?」
そして、研究により「スコッチの製法を取り入れれば、アイリッシュウイスキーは復興出来る」と考えていました。
そんな時、国立のケミックトー蒸留所が売りに出されている事を知ります。
その蒸留所は1940年代に現アイルランド共和国が建てた蒸留所の1つで、ジャガイモから工業用アルコールを生産する工場でした。
氏は、研究成果を試すのは今だ!と、即座に買い取りを決意。
ウイスキー蒸留所に改造して、1987年に「クーリー蒸留所」としてオープンしました
そこからアイリッシュウイスキーの復興が始まっていったのです。
グレンダロッホ
グレンダロッホ蒸留所の創業は2011年。
アイルランドでは昔からポチーンと呼ばれる密造酒が製造されたいました。
一説によれば、ポチーンはウォッカ、ラム、テキーラなどの蒸留酒の起源だそう。
ポチーンとは元々蒸留釜の事。
アイルランドの各家庭で密かに作り続けられているうちに酒の名前になったそうです。
その後、アイルランドの特産品として無視できなくなり、1997年に合法化。
それが創業するきっかけとなリました。
創業以来グレンダロッホは企業躍進をしつつ、アイルランドと共に生きる事をとても大切にしています。
それが認められ、英国のウイスキーマガジン誌が主催する「アイコンズ・オブ・ウイスキー2021」で”サステナブル・ディスティラリー・オブ・ザ・イヤー”を受賞。
特に、自然環境を最優先するウイスキー造りを行なっているそうです。
例えば、苗木の移植。
こちらの蒸留所では、アイルランド産オーク樽を使用して熟成させますが、1本の木を切るたびに7本の苗木を植えています。
元々サステナブル(Sustainable)とは、持続可能という意味。
最近は、広く環境・社会・経済の3つの観点からこの世の中を持続可能にしていくという考え方も指すようになりました。
つまり、企業が利益を追求するだけでなく、社会へ与える影響に責任を持ち、社会貢献も行う事を言います。
また、グレンダロッホは中世の教会群が残る随一の観光地。
そこには、セント・ケヴィンが6世紀に建てた7つの教会やアイルランド・キリスト教建築の象徴とも言える建造物が残っています。
グレンダロッホ蒸留所のボトルには聖人の姿が描かれています。
これは、セント・ケヴィンを表現しているそうです。
グレンダロッホ蒸留所が主に販売しているのは、7年と13年熟成の物。
7年は、7つのセントケヴィンが建てた教会に敬意を込めて。
13年は、セントケヴィンが湖で祈りながら13日間ツグミの卵を抱き、孵化させたという逸話から来ています。
忌嫌われる「13」という数字ですが、上記の逸話によりアイルランドでは吉兆なのです。
香り甘く、余韻がしっかり楽しめるウイスキーが多いのが特徴です。
ウエストコーク
アイルランド南西部コーク州スキバレンにある蒸留所です。
創業は2003年。
アドバイザーに元スプリングバンク蒸留所のマスターディスティラー「フランク・マッカーディ」氏を迎えています。
元々は幼馴染3人でスタートした蒸留所でしたが、現在スタッフの数は120人。
今や、全世界70カ国に輸出するクラフトの雄となりました。
しかも、2018年には資金を出していたヘイルウッド社から全株式を買い戻し、名実ともに100%アイルランド資本の蒸留所に。
驚くべき点は、ポットスチルやコラムスチルを自作したり、自分達で改造している点。
蒸留所には大きなガレージがありそこで、唯一無二の自作スチルを造っているそう。
特に、「ロケット」と名付けられた初留釜は個性的です。
見た目はまさしく小型弾道ロケット。
見た目だけでなく、蒸留スピードが速いのも特徴で、その事も「ロケット」と名付けた理由だそうです。
熟成樽の種類が豊富なのも魅力。
シェリーカスクフィニッシュ、ポートカスクフィニッシュ、ラムカスクフィニッシュ、ライカスクフィニッシュ、カルヴァドスカスクフィニッシュ、バージンオークカスクフィニッシュとあります。
好みの熟成樽から選んでみるのもいいかも知れません。
ランベイ
「ランベイ」とはアイルランドの首都ダブリンから約3kmの沖合に浮かぶ小島のランベイ島の事。
なんと、このランベイ島は元々プライベートアイランド。
「アレクサンダー・ベアリング卿」が所有しています。
ベアリング家は、イギリス最古の銀行を創業した由緒正しい家です。
ベアリング家が創業した「ベアリングス銀行」はかつて”女王の銀行”とまで言われていました。
現在は銀行業から離れ、ランベイ・イニシアチブという会社で自然保護やなどを主とした様々な事業を手掛けているそうです。
このベアリング卿とコニャックの名門 カミュ家の5代目当主「シリル・カミュ」氏が手を組み「ランベイ・ウイスキー」が誕生。
しかし、このランベイ島でウイスキーを製造しているわけではありません。
自然保護の観点などからこの島に蒸溜所を作る事は考えていないそうです。
そのため、ウエストコーク蒸留所でから原酒を購入し、それをカミュ社のコニャック樽にて後熟。
海のすぐ傍に、漁師小屋を改造した熟成庫を準備しました。
シーカスクルームと名付けられたその小さな熟成庫で、現在100近くの樽がねかされています。
ランベイ・ウイスキーが初めて世に出たのが2017年。
今では世界30カ国以上で愛飲される程人気となりました。
特に、コニャックに由来する華やかな香りがお好きな方にはピッタリのウイスキーです。
おすすめのアイリッシュウイスキー
グレンダロッホ 17年 ミズナラ オーク フィニッシュ
ファーストフィルのアメリカンオーク・バーボン樽で15年間熟成した原酒をミズナラ樽で2年間後熟。
グレンダロッホはアイリッシュでは初めて、ミズナラ樽を採用した蒸留所です。
口に含めば、バニラアイスクリームのような味わいがじわっと。
その後ダークチョコ味へと続きます。
生クリームのような滑らかな口当たりとピリッとしたスパイシーさを併せ持ったウイスキー。
スムース且つ複雑な味わいが魅力。
甘いだけでは物足らないといった方に是非おすすめの逸品です。
アイリッシュ シングルモルト 21年 1998 バレル (ウイスキーエージェンシー)
ウイスキーエージェンシーは国内だけでなく海外でも高評価を得ている、ボトラーズの一つ。
ウイスキーの質が良いのもさる事ながら、ラベルの絵も人気です。
創業者カーステン・エールリヒ氏はリンブルグウィスキーフェアの主催者。
公式ボトルの選定に携わっています。
その豊富な経験により、注目のボトルをリリースし続けております。
ウイスキーエージェンシーの製品は多くのモルトファンのみならず、今や世界的な争奪戦になるほど。
激レアなウイスキーです。
また、入手困難だからこそ、愛好家へのプレゼントには打って付けでしょう。
アイリッシュシングルモルト ラムカスク 1998 22年 ウイスキーギャラリー
輸入業社である「ウイスク・イー」のオリジナルアイテム「ウイスキーギャラリー」シリーズより。
アイルランドのある蒸溜所でつくられたシングルモルト。(蒸留所名非公開)
ラムカスクの22年熟成。
シングルカスクのカスクストレングスボトリングです。
鼻を近づけると熟したプラムのような香りが広がります。
その後、手でグラスを温めていくとバターの様な香りが加わります。
口当たりはとてもマイルド。
そして熟れた桃やマンゴーとトーストしたパンの様なテイストが絶妙にマッチ。
長期熟成に由来するフルーツの様な味わいとラムカスク由来の砂糖が焦げた風味が調和した素晴らしい銘酒です。
ランベイ #4616 シングルカスク Y’sカスク
2014年以前に3回蒸溜されたモルト原酒をバーボンバレルで4年以上の熟成。
2018年の8月にランベイ島の「The Sea Cask Room」でカミュ家のコニャック樽に移し替え、2020年1月にボトリング。
「4616」というのはバッチナンバー(生産番号)。
これらは、セラーの扉近くで熟成されたので、潮の香りを色濃く受け継ぎました。
また、カミュ家のコニャックに由来する花の香りも存分にお楽しみ頂けます。
非常に香り高い、樽出しそのままの味わいを是非ともお愉しみ下さい。
ティーリング 21年 (1999) ラムカスク for CHAGATAPARK 10th ANNIVERSARY
『ちゃがたパーク』さんが10周年を記念して販売したボトル。
インポーターや蒸留所からあまり市場に出回らない秘蔵酒をご提案頂き、『CHAGATAPARK 10th ANNIVERSARYボトル』として多数リリースされているそうです。
こちらはそのリリース第一弾。
1996年蒸留、24年熟成の日本限定シングルカスク&カスクストレングスです。
ティーリングウイスキー社はアイルランドのダブリンに本拠を構えるインディペンデントボトラー(独立瓶詰業者)です。
アイリッシュウイスキー業界にアイルランドの“独立”の気運を再び取り戻そうと、当時のクーリー社の社長であったジャック・ティーリング氏が、クーリーを離れて2012年に設立。
アイルランドの蒸留所と樽の供給に関する契約を結び、長期にわたり確保することに成功。
そして、その後の展開を考え2015年にオープンさせたのが前述のティーリング蒸留所です。
長期熟成による、余韻の長さが魅力の銘酒。
レーズンの様な甘さが消える事なくずっと続きます。
是非、ロックでじっくりお召し上がり下さい。
ウエストコーク 4本セット
こちらはウエストコーク蒸溜所を存分に楽しめるお得なセットです。
ご友人などと共同購入されて、飲み比べても面白いかも知れません。
【セット内容】
◆ウエストコーク シングルモルト 700ml 40度
アイルランドの穀物と天然温泉水を原料に、3回蒸留されたシングルモルト。
バーボン樽での熟成によりマイルドな柑橘類、バニラ、甘いスパイス、ブリオッシュの香りを醸し出しています。
余韻も長くバニラの風味が口の中でじんわりと続きます。
◆ウエストコーク シェリーカスクフィニッシュ 700ml 43度
バーボン樽で熟成した原酒をシェリー樽で後熟したシングルモルト。
プルーン、イチジク、シェリー、バニラのアロマにドライな舌触りが特徴です。
◆ウエストコーク ポートカスクフィニッシュ 700ml 43度
バーボン樽で熟成した原酒をポートカスクでフィニッシュ。
味わいは、ナツメグと黒胡椒が絶妙にハーモニーを奏でています。
加えて、ポート樽由来のドライフルーツの香りが程よくそこに絡みつくのが魅力です。
◆ウエストコーク カルバドスカスクフィニッシュ 700ml 43度
バーボン樽で熟成した原酒をカルバドス樽で後熟したシングルモルト。
リンゴの様な香りにアーモンドのフレーバーが折り重なりあっています。
そこに、バニラアイスクリームのテイストが加重。
まさに、これぞデザートウイスキーと言っても過言はないでしょう。
アイリッシュウイスキー検定試験 類似問題
アイリッシュウイスキー検定の類似問題をご紹介しますので、是非ご参考までに解いてみて下さい。
Q.以下はアイリッシュウイスキーの定義について述べた文である。正しいのはどれか?
A.アイリッシュウイスキーはアイルランド共和国の蒸留所で糖化、発酵、蒸留を行ったもので、北アイルランドの蒸留所で造られたウイスキーはブリティッシュウイスキーとなり、アイリッシュウイスキーとは区別される
B.大麦麦芽の酵素でデンプンの糖化を行う事が義務付けられていて、それ以外の天然由来の酵素を使う事は許されない
C.蒸留の上限度数は96.8%で、これはスコッチと同じである
D.熟成は容量700Lを超えない木製の樽と定められているが、スコッチと違って樽材はオークとは限定されていない
E.最低熟成年数は3年だが、北アイルランドとアイルランド共和国の両方で熟成を行う場合は、それぞれの国で1年以上、合計4年以上が必要である
一つ一つ見ていきましょう!
A「北アイルランドの蒸留所〜区別される」とありますが、区別されません。よってAは誤り。
B 天然酵母由来の酵素であればOKです。然ればBも誤り。
C 蒸留の上限度数は94.8%です。よってCも誤り。
D 正解です。
E アイルランドまたは、北アイルランドの倉庫で3年以上熟成。
移動した場合は両方の国での累計年数が3年以上必要となります。よってEも誤り。
正しいのは「D」のみ。
まとめ
“独立独歩”の気風からか、続々クラフト蒸留が誕生するアイルランド。
元々は、スコッチに負けないぐらい人気のあった産地です。
それ故、現在のアイリッシュ復興ブームは世界中の愛好家が期待しています。
クリアでありながらも余韻がしっかりある銘柄も多いので、初心者から愛好家まで幅広い層にお楽しみ頂けます。
是非、飲み比べなどをして好みのウイスキーの幅を広げてみて下さい!
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